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アルねこすたーに。

アルパカとねこすけとハムスターと犬です。

レビュー:椿山課長の7日間

読書

浅田次郎の「椿山課長の七日間」を読みました。

ぽっくり死んでしまった椿山課長が、遣り残したことを生前とは違う体となって達成していくお話。

初めて浅田次郎の本を読みましたが、伏線が張り巡らされてるわーと思って読んでいたら、そー回収するのね!という納得感のある本。

「死役所」という漫画がありますが、設定が似ています。

死の世界を覗きたい方はぜひ。

椿山課長の七日間 (集英社文庫)

椿山課長の七日間 (集英社文庫)

死役所 3 (BUNCH COMICS)

死役所 3 (BUNCH COMICS)

死役所 1 (BUNCH COMICS)

死役所 1 (BUNCH COMICS)

死役所 2 (BUNCH COMICS)

死役所 2 (BUNCH COMICS)

椿山はデパートの敏腕課長であったが、酒の席で過労が祟ってぽっくり死んでしまう。 死んだ人が行き着く役所で講習を受け、反省ボタンを押せばそのまま天国に行けるという、なんともゆるーい天界。 大体の人はそのまま天国に行ってしまいますが、椿山、交通事故で死んだ雄太、人違いで殺された武田の三人は現世で遣り残したことを片付けるために再び人間の肉体を持って、現世に戻ってきます。 タイムリミットは初七日の7日間ですが、天界にいる間に4日消化してしまっていたので、3日で用事を片付けることになります。

主人公は、デパート課長の椿山、ヤクザの武田、小学生の雄太という3人です。

椿山は椿という女性となって現世に戻ります。 妻の不貞、不貞の相手は自分の部下という最悪の事態を目の当たりにしますが、それでも妻を愛し、子を愛し、尊敬する父を愛します。 呆けたふりをする椿山の父の姿は痛々しかったのですが、後々、雄太を助ける際には頼もしいおじいちゃんになります。

武田は竹内(偽名でころっと名前は変わりますが)というダンディな弁護士として現世に戻ります。 間違いでヒットマンに殺されてしまいましたが、残して来た師弟をまっとうに生きさせるために様子を伺いに行ったり、引き取ってもらった先のヤクザに挨拶に行ったりします。 また自分が間違いで撃たれたことの真相とヒットマンの正体を暴こうとします。 最終的には禁忌であった「正体を明かすこと」をしてしまったうえに、大事な師弟に殺しはさせまいと自分でヒットマンを殺したため「仇討ちはしない」という約束も破ったので地獄行きになってしまいます。

雄太は自分が養子であることを知っていたので、本当の親に会いたいという遣り残しを片付けるために現世に戻ります。 現世での姿は戒名にならって連ちゃんという名前と美少女に。 連ちゃんは陽ちゃん(椿山の息子であり、実は妻の不貞で出来た子ども。陽ちゃん自身は自分の身を弁えている)とおじいちゃんに禁忌であった「正体を明かすこと」をして、自分の両親を見つけ出し、「ありがとう」を言います。

この三人は決して悪人ではなく、ちょっとズレた人たちという共通点があるなぁと思いました。

最終的には役人一徹だった、陽ちゃんのおじいちゃんも死んでしまいますが、禁忌を犯した連ちゃんと引き換えに自分を「怖いところ」行くことを決意します。 最後の最後まで、天界の役人に正論をぶつける姿は想像しても「かっこよくて、たくましいおじいちゃん」でした。

おじいちゃんと武田は暗くて怖いところ(地獄とは書かれてません)行きますが、最後の最後まで笑顔で逞しい、やりきった男の姿でした。

一方、椿山と雄太は天国で死んだ家族たちと再会します。

この話を読んでいて、思いついたのは「死役所」と世界観が似ている!というところでしたが、こちらの方が幾分か死んだ後も救われる制度が整備されてるよ〜という感じがして面白かったです。 死んでまで講習を受ける、反省ボタンを押して、判子をもらえば天国へ行けるという緩さが、実際そうであって欲しいと思わせる、むしろこの制度が天国だーと思えました。

死人が現世に戻り(生き返りはしません)やり残したことをやるというのは、幽霊という姿ではなく、肉体を持つことでなし得ることなのだなぁーと思いました。

私も死んだらこんなところに行きたい!と思う方はぜひ。