アキエノート

アルパカとねこすけとハムスターと犬です。

レビュー:チーズと塩と豆と

角田光代井上荒野森絵都江國香織の「チーズと塩と豆と」を読みました。

恋愛と外国と食事をテーマにした4人のアンソロジー作品。 最初のページに物語の舞台になる場所の地図が書いてありますが、読んで見直した方がイメージが湧きやすかったです。

美味しそうな食事と外国の風・恋愛を求める方は是非。

角田光代井上荒野の本は読んだことなかったので、初読でした。 個人的には森絵都江國香織目当ての本でした。

一番、風景が広がってご飯も美味しそう、恋愛も楽しいと感じたのは江國香織でした。 エッセイもそうですが、食べ物の描写が本当に美味しそう。 4人中、江國香織の1人だけが男性同士の恋愛を書いてます。 BLラノベとかが苦手な私ですが、普通にスラスラと、むしろ面白いなーと思いながら読めました。

順に好きだった話は、江國香織井上荒野森絵都角田光代でした。

井上荒野は出てくるメインの食事がミネストローネだけですが、とても美味しそうでした。 先生と生徒との恋愛と結婚を書いてますが、先生だった夫は病院で意識なく過ごしていて、そこに妻が好きだったミネストローネを運ぶという話。 最後に若い男と寝ますが、やっぱり夫が好きなんだなぁと思いました。

森絵都の話は食事の対称さが面白かった。 式たりに従って来た頑固な気質な男が、母の言う通り、同じ土地の女性と結婚して、母の本当の気持ちに気付き、気付いたところで伏線回収される。 多分、この伏線はここで回収されるだろう!と分かってても面白いところが魅力だ。 あと塩っぱいクレープが食べてみたくなった。

角田光代について、残念に思ったのが、飛行機で「一睡もできなかった」と書いてあったのに、次くらいで「十分に」眠ったと書いてあったところ。 間が空いて(区切られて)いたけれど、分かりにくい。 読んでいても、飛行機に乗ってから機内での話と、降りてからの話だと思ったのだが、この真逆の表現で混乱した。

外国の食事を食べたような気になる一冊だったので、食事と恋愛を楽しみたい方はぜひ。